創作する人のための文章学校-クラス専用掲示板

こちらは、創作する人のための文章学校の、文章創作クラス、創作遠隔クラス、それぞれの専用掲示板です。

ログインしていません。

アナウンス

※現在、新規登録を制限しています。登録をご希望の参加者様は、文章学校までお問い合わせください。

#1 2020-01-31 11:11:28

村松恒平
管理者
登録日: 2017-12-27
投稿: 297

安曇富士 by でんでら

でんでらさんの作品では、障害のことが当たり前に、非常に平明に明澄に書かれています。
小説として、そういう視点はめざましい特長になっていくでしょう。

ただ今回は行き過ぎで、陰影が乏しく平坦になっているように思います。
主人公の悩みがあまり伝わってきません。

>けれども職場の人間関係になじめず、たまに起こるはげしい下痢に悩まされていた。全身から脂汗がでて、一度気絶したこともあった。

この具体的な場面があったほうがいいでしょう。
学生のときの話より、こちらの臨場感が重要だと思います。
長い作品では、両方入っていればいいでしょう。
あるいは、「人間関係になじめず」の部分だけ、具体的にどういうことかを内側から克明に書けば一本の小説になりそうです。

今回は、よくばりすぎかもしれません。

それと、これは無意識に「知っている人向け」に書いていると言えます。

showさんとの間で、予約が1ヶ月はむしろ短いという問答がありました。
そういうことを知っていることが前提になっていることが多いですね。

アスペルガー、ADHD、ADD。
知っている人には当たり前の単語で、「あの人みたいな症状」と思い浮かぶでしょうが、知らない人も多いでしょう。

私の行く陶芸教室で想像するに、アスペルガーといって通じる人は10人中、2人くらいです。ADHDなら、名前を聞いたことがある人が4、5人。ADDはADHDの絡みで出てこないと私にも何のことかわかりません。
リタリンという薬も聞いたことがあるかな、というくらいです。

知っている人の「界隈」では、こんなのは常識、初歩でしょうが、ほとんど知識がない人たちもいます。

知らない人たちに読ませるには、さらっとしすぎています。
知識のない人たちに照準を合わせたほうが、作品の力は大きくなります。

というのは、「知らないことを知る」量が大きく違うからですね。
1知っている人が10を知れば、差は9です。
8知っている人が10知っても、差は2です。
働きは9のほうが大きい。

知らない人を対象に書くことを意識してください。
発達障害の専門家の医師との会話で、主人公も相当の自己診断をして、専門家同士の会話みたいになっています。
これはわかります。
よく「うつ」の人が薬の処方について、自分も専門家のように語っているのを読んだからです。

このやりとりも、知らない人には奇異に映るかもしれませんね。
そういう視点を意識するともっと面白くなるかもしれません。

お母さんの件は、文脈から、あるいはでんでらさんの作品を読んでいるから、なんとなく想像がつきます。
でも、やはり効果をあげるには、もう2.3行あったほうがいいでしょう。

リタリンの影響
>安曇富士の山肌の青が均質化して見えた。
のところは、とても新鮮で面白いです。

しかし、その前後をもっと強調したほうがいいです。

リタリンを調べてみましたが、興奮・覚醒効果があり、覚せい剤がわりに流用する人がいて禁止になったようですね。

>いままであちこちに飛んでいた思考がまとまり、一本の線になったような気がした。

という効果のことだけが書いてありますが、それだけでなく、「新しい人生が始まる」感じとか、「母親の嫌味も気にならない」とか、無敵モードでどんどん昂揚していったほうがいいと思います。

それが膨らんで膨らんで、というところで、安曇富士を見て、しゅーと空気が抜けて、手が震える不安なところまで落ち込んでしまう。

それくらい落差を強調してほしいのです。

>薬の副作用だとは思えなかった。

という一文がやや浮いているのですが、広義の副作用といってもいいと思います。
もっと自分の存在感に関する恐怖について書きたいなら、ていねいに言葉を探して書いてください。

>食欲が全くわかなかった。二時間後薬が切れるとネットの情報の通り、体中がだるくなった。

食欲がない、だるくなるは、副作用について書いてある一般的な言葉なので、ここについても、体感的な言葉がほしいです。
「目の前に好物の**があるのに、箸をつけても味がしない。すべてが灰色の意味も生気もないものに見えた」とか、ですね。

どんどんアップとダウンの落差を大きくしましょう。
ここを膨らませると他の部分を整理したくなるかもしれません。

今回悪いことばかりを書いたようですが、それだけ難しい大きな面白いテーマに挑んだといえます。
チャレンジとして好感がもてます。
文字数の制限をなくして、バランスを整えれば、名作になる可能性があります。

オフライン

#2 2020-01-31 20:32:25

でんでら
メンバー
登録日: 2018-01-11
投稿: 334

Re: 安曇富士 by でんでら

こ、講評ありがとうございました。
はあ~_| ̄|○
むずかしい~、作品をぱしっと完成させるのって難しい~。

掌編がなかなか決まらないから
長編を書く勇気が出てこないです。
こりゃあ、いつになったら長編作品を完成させることができるのか。

書くことも大切だけど、
もっといろんな作品を読んだり、映画を見たりして、
構造分析を進めていかないといけないなって思いました。

あと欲張ってしまう癖がなかなかなおりませんね。

>>食欲がない、だるくなるは、副作用について書いてある一般的な言葉なので、ここについても、体感的な言葉がほしいです。
>>「目の前に好物の**があるのに、箸をつけても味がしない。すべてが灰色の意味も生気もないものに見えた」とか、ですね。

ここを読んで「そうか!」とわかりました。
具体的な例を挙げていただけるとすっと頭に入ってきます。
次からは意識して書いていこうと思います!!

>>それと、これは無意識に「知っている人向け」に書いていると言えます。
確かに!!

テレビで発達障害の啓発が盛んなので、知っている人は多いだろうと思っていました。
昔、職場(保育園)で「インクルーシブ教育がね」と話を振ったら、職員から
「インクルーシブってなんですか」って帰ってきました。
そうか、知らない人もいるんだ!っておどろくと同時に、ちゃんと説明しなくちゃって思いました。
自分たちでわかる言葉で話すのはすごく閉鎖的な証拠ですよね。

ちなみに今では「アスペルガー」とは言わないそうです。
「自閉症スペクトラム」っていうそうですね。
(私もつい最近知りました)

リタリンは医者も「子どもにこれを投与していいのだろうか」と思いながら投与していたと聞いたことがあります。
先生のおっしゃる通り、とても危険な薬でリタリン中毒と言って問題になりました。

ん~しかし掌編(って長編書いたことないけど)って難しい~~~~!

オフライン

#3 2020-01-31 23:27:25

村松恒平
管理者
登録日: 2017-12-27
投稿: 297

Re: 安曇富士 by でんでら

文字数が足りないから起きていることもあるので、掌編が難しいか、長編が難しいかはわかりませんよ。

短編、中編という長さもあるので、短編くらいに挑戦してはいかがですか。

そして、ここではなく外の読者に公開してみるのもいいと思います。


それから、薬の効果を体感的に書くとか、病状を体感的に書くのは、とても面白いことと思います。
内側から書くということを意識してください。
これはでんでらさんにしかできないことかもしれません。

私がnoteでインフルのことを書いたのも、身体を内側から書く、という実験でした。
あんまり他人が読んでも面白くないと思いますが。

オフライン

#4 2020-02-01 07:14:36

でんでら
メンバー
登録日: 2018-01-11
投稿: 334

Re: 安曇富士 by でんでら

おはようございます。

>>そして、ここではなく外の読者に公開してみるのもいいと思います。
偶然にも外部の方から
「また、金井さんの小説を読ませてくださいね」と言われました。
(社交辞令だったらどうしよう)

………ここの人以外に読んでもらう……
そういう時期がきているのかもしれませんねー。
いやぁ、習い始めたときに比べたら、
自分で言うのもなんですが、
ずいぶんと上手くなったんだなぁー。(笑)

思いきって私も長編に挑戦してみようかな。
でも一人は寂しいなぁ~

>>内側から書くということを意識してください。
これはでんでらさんにしかできないことかもしれません

はい!
これは自分でも思います。

あと、社会活動で肩書きがつくと、
人ってわたしのことをこんな風にみるんだー!
私は何も言ってないし思ってもないのに、
向こうが勝手に想像して勝手に動くので怖い!
という発見が多々ありました。

いつか、その経験を書いてみたいです。

オフライン

Board footer