創作する人のための文章学校-クラス専用掲示板

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#1 2020-02-28 16:53:12

村松恒平
管理者
登録日: 2017-12-27
投稿: 297

羽衣の家 コメント

これからは作品の単行本化を目指していくので、講評という言葉はやめてコメントにしてみました。

*
冒頭の部分をラストシーンにするか、ということについては、やはり冒頭がいいようです。
ここには、現役の能楽師でなければ書けないことが詰まっています。
能を内側から見ていないと書けないことが書いてあります。
まして「羽衣」の誕生シーンに立ち会えるのは読者の幸せでしょう。

つかみとして、また小説の格を決定する部分として、冒頭がふさわしいでしょう。

しかし、つながりの悪さは感じます。
なんらかの工夫はしたほうがいいでしょう。

冒頭に置くことは決定して、アイデアを練る。
これは今の必要はありません。
完結するまでに浮かべばよいです。

基本的には、プロローグと第1章ですから、落差があったほうがいいです。
それから謎の提示があったほうがいい。
転換をはっきりさせたい、というようなことです。

ミステリでも、最初に男が恐怖にかられて逃げて来てやがて何者かに殺される、というようなところから、田園を警察の車が走っているような静かな場面に変わりますね。

そういう転換の落差がほしいのです。

章の扉に、年号と世阿弥の年齢を入れるのもいいです。
そこに世阿弥の文章の引用を入れたりするのもいいです。

これでも成立しているといえばしているので、何かちょっとしたアイデアでいいと思います。

*時間が戻るといえば、
>連れ立って嵯峨野の清凉寺に向かった清次と童子の二人を、観世座の長老垣内{がいち}のジイは西大寺の大門で見送った。

ここでも時間が戻っていますが、これは短編として書いたときの名残で、時間を追って溶け込ませてしまったほうがよいように思います。
そうすると、清次たちの清凉寺行きがややボケてしまいますが、表現上の強い意図や要請がない限り、時間は順に流れていくほうがよいです。

とくにその日の早朝のこと、越前の家に案内を請う壮年の侍があった。その日の早朝のこと、越前の家に案内を請う壮年の侍があった。垣内{がいち}のジイは、最初はただ長老となっているので(同一人物ですね?)、混乱します。

それから、このことを考えてから気づきましたが、誰も子どもに両親の名前を聞いていないですね。母親の名を聞けばすぐに乙鶴と気づいてしまいます。
同じ芸人同士とわかっていますから、アテがつく可能性は高いです。
この部分を処理したほうがいいです。
最初秘密にしておけと言い含められているとか、ですね。

*
>その日の早朝のこと、越前の家に案内を請う壮年の侍があった。

ここでも時間を遡っています。
ここにも強い要請はないので、垣内{がいち}のジイの行動を素直に追う形のほうがよいです。

あるいは、この部分をなくせば、時間を遡ってもよいかもしれません↓

 >里人たちに囲まれているジイのもとに宮司が歩み寄って来た。ジイより頭ひとつ長身ながら胸は薄く肩幅も狭い。しかし背筋はしっかりと伸びて白髪を豊かに結い上げている。
「越前のもとに客じゃ。」
明るい調子で声を掛けたが、目は笑っていない。その表情から「客」の正体は知れた。ジイは軽く頷いただけで我が家へ向った。越前というのはジイの連合いである。数年前に髪を下し念仏三昧の日々を送っているが、若い頃には曲舞の一座を率いて諸国を廻り、曲舞舞として名を馳せていた。しかしこの里に隠居してから三十年、まもなく六十歳になろうかという越前に、「客」と殊更に名を伏せる者は一人しかいない。

視点や時制が作家の都合で動き過ぎると、美しくありません。

*

あとは、能の説明の部分がわかりにくいです。
わかりにくいものとして読み流してしまうことも可能ですが、せっかくなら物語の流れを崩さない程度にもう少し言葉を使ったほうがよいでしょう。

例をあげますと

>もう少し詳しく言えば、八拍の裏即ち一拍の前から始まって、五拍前の四拍の裏までに上の句七文字を配し、五拍から八拍までに下の句五文字を謡う。

「八拍の裏即ち一拍の前」ここがすでにわからないです。
何度か読み返して、やっとこうかなというのが見えて来ました。

シンプルにすると、こうなります。

>一拍の前から始まって、四拍の裏までに上の句七文字を配し、五拍から八拍までに下の句五文字を謡う。

これならなんとか。

説明するときりがない世界でしょうが、このように一度分解してわかりやすく組み立てることがある程度できると感じます。

他の部分もあげておきます。

>また「ハ、ホン、ヤァー」と打切りの声が入り、曲舞の破の段に入る。始まる前に「クセ中の打切りは。」とその有無を尋ねた四郎に、三郎は「ヤヲで。」と短く答えた。これは、クセの序段で打切りを入れて、その後はヤヲの間{ま}になる、という意味である。四郎は、「ハ、ハ、」と声を並べた後、「ヤヲー」と引き「ハォ」と鋭く短かい声を入れた。ヤヲの間とは次の上の句が四文字の場合の常套手段で、八拍の割付けの二拍半から四文字の最初が始まるということである。

>「上羽{あげは}は。」と尋ねた四郎に、三郎は「一回。ヤヲハの本地。」と答えている。上羽はクセの中で舞手が一句か二句の短い謡を謡いながら決まりの型をする部分。それが長いものだと二回あるけれど、ここではそれが一回だけで、ヤヲハの本地とは、三拍半から五文字を引き伸ばしてハ拍まで配る場合に兄弟の間で言い交わされた言葉だった。

ヤヲは、鼓の人が入れるかけ声でしょうか。
鼓の人の原理も興味あるので、もうすこしわかりたいところです。

*
最後は表記ですが、
>四五歳くらいであろうか

これで四十五と読むこともできますので、
四、五歳、がよいです。

気になるところだけ列記しました。
改めて読むと芸能の世界の性的な面も濃厚にでています。作品として、よいことだろうと思います。快調だと思います。

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#2 2020-02-28 18:23:00

show3418
メンバー
登録日: 2018-02-09
投稿: 301

Re: 羽衣の家 コメント

村松さん。コメントありがとうございます。
時制については、短編で書いたものをもう一度分解する必要がありますね。
垣内のジイが見送ったところですが、時制に沿ってそこで乙鶴を出してしまうと、奈良豆比古神社での清次の驚きがボケてしまいますが、乙鶴の見送りの場面を前節に組み込めば良さそうです。観世座の長老だけだったのは、書き直しの時に落としていました。名前については乙鶴が鬼丸に言い含めておかなければ成立しませんね。
こうして見直すといろいろ出て来ます。でも大事な出だしですので、手間を惜しまずに意を尽さねばなりませんね。
書き直したものは、note に反映させて行きます。

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#3 2020-02-28 23:23:23

show3418
メンバー
登録日: 2018-02-09
投稿: 301

Re: 羽衣の家 コメント

序の(一)(二)を書き直しまし、noteにアップしました。

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#4 2020-02-29 10:46:34

村松恒平
管理者
登録日: 2017-12-27
投稿: 297

Re: 羽衣の家 コメント

仕事が早い!

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#5 2020-02-29 11:06:30

でんでら
メンバー
登録日: 2018-01-11
投稿: 334

Re: 羽衣の家 コメント

私も同じことを思いました!
見習わないと!!

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#6 2020-02-29 11:27:16

show3418
メンバー
登録日: 2018-02-09
投稿: 301

Re: 羽衣の家 コメント

コロナで暇‼︎

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#7 2020-02-29 11:28:30

村松恒平
管理者
登録日: 2017-12-27
投稿: 297

Re: 羽衣の家 コメント

なるほど!

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#8 2020-02-29 14:04:06

show3418
メンバー
登録日: 2018-02-09
投稿: 301

Re: 羽衣の家 コメント

「第一章の一、孺子」を書き直しました。色々書き加えて、垣内のジイと乙鶴のシーンを後半に加えました。やはり時間はもどりますが、少しわかりやすくなっていると思います。
引き続き、「二、結崎」にかかりますが、かなり新しく書き込む部分が多くなると思います。

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#9 2020-02-29 14:05:40

村松恒平
管理者
登録日: 2017-12-27
投稿: 297

Re: 羽衣の家 コメント

膨らむことはいいことです

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#10 2020-02-29 14:14:29

村松恒平
管理者
登録日: 2017-12-27
投稿: 297

Re: 羽衣の家 コメント

最後の一節には節をつけて謡いながら、乙鶴は背を向けて歩き始め、***小屋じまいに戻った。作業をしている観世座の若い衆が、仰ぐようにこの老人を迎えた。

主語が抜けています。

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#11 2020-02-29 17:02:56

show3418
メンバー
登録日: 2018-02-09
投稿: 301

Re: 羽衣の家 コメント

村松さん。ご指摘有難うございます。

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