矢立というものを京都の鳩居堂で買った。
小筆が入る筒と、綿の入った墨ツボが一体になったもの。昔の人はこれを持ち歩いて、書き物の用を足したらしい。
最初、墨をドボトボと入れたら、こぼれて始末が悪かったが、ヒタヒタ以下にして、つまり、朱肉のような状態にして持ち歩けばいいとわかった。
筆を濡らすか、水滴を落とせば、これで相当書ける。
小さなスケッチブックとこれがあると、酒席で退屈しない。
描くのも楽しいが、人に描いてみる? と勧めるのも楽しい。
素直に面白がって描き出す人と、かまえてしまったり、絵はダメで…などと言い出して描かない人もいる。
これははっきりとタイプが分かれる。
やはり描いてしまうタイプのほうが話していて楽しい。
するすると描く人でも、マンガチックな類型を持っている人もいて、これは僕としてはあまり面白くない。
やはり、即興という何が起こるかわからない感じが面白い。
筆という筆記用具も、頭で全てコントロールすることが難しい筆記用具で、そこに無意識的なものが現れてくる ようで面白い。意識と無意識の壁が厚い人には扱いにくい道具のようだ。
もちろん文字を書くのも面白い。
近いうちに、トランス派の書道会を立ち上げようと思っている。